研究内容のご紹介

松尾清美

リハビリテーション工学による高齢者や障害者の生活行動支援

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立って歩けなくなると介護が必要となったと言われる。
しかし、リハビリテーション工学(以下、リハ工学)を知っている人は、立って移動できなければ身体や生活方法に適合した車いすを使って移動すれば、寝たきりにならずに生活を楽しめることを知っている。

つまりリハ工学とは、「ひとり一人のリハビリテーション(全人的復権)を支え、豊かな人生を実現するため、工学的技術を活用して道具や機器,住環境,社会環境,教育,システムなどを改善あるいは開発して、個別に適用を図るための支援技術とシステム」のことである。

生活行動支援とは、本人が「自分ですること」と「やってもらうこと」を明確にし、「自分でできることは、道具や生活環境を使って自分で行う=自立」、「自分ではできないことは、自分がやってもらいたい方法で介助してもらう=自律」という考え方で生活を構築し、生きる権利を行使して楽しい生活行動を支援することである。

個々の自立(律)生活行動支援を成功させるには、下記の5項目が重要である。講演では、これまでに開発した機器や環境を交え、自立(律)生活事例を報告する。

1)自立(律)の考え方を知る。教育する。

:一般の考え方は、「身体に障害を持っている人は弱者である。車いす使用者は押さなければならない。車いすに乗るようになったらおしまいだ!」などが多い。高齢者や障害者の周りに居る人々がこのような考えであれば、様々な生活動作を介助で行うことなる。本人も時間が経過すれば、これが当然のことと考えてしまうのである。そして、寝たきり生活にならざるを得なくなってしまう。これは、社会の損失である。「障害があっても誇らしく生きることができる。身体の障害が悪いのではなく、身体に障害があることを苦しんだり人生をあきらめてしまうことが悲しいのである。これを教育しなければならない。

2)支援体制の構築

:一つの専門職だけで支援することは不十分な支援となる。医師や看護師、理学療法師、作業療法師などの医療職、社会福祉士や介護福祉士などの福祉職だけでなく、福祉用具事業者や建築関連職種、教育職、エンジニアなどの協力体制で、本人と家族を中心に話し合って支援することが大切である。

3)生活基本動作と生活方法の決定

:24時間の生活の流れと生活基本動作(就寝、排泄、入浴、洗面など)、1週間の流れ、1カ月の流れ、季節による動作能力の違いなどを知って、生活方法を獲得する支援。自立生活か介助での生活かは問題ではない。必要な部分に介助者を入れて生活し人生を構築するのである。そのために生活動作のシミュレーションを行い、動作などを確認してから生活方法を決めることが大切である。

4)生活道具の確保

:移動や移乗、コミュニケーション、排泄、入浴などの生活行為別に、本人の生活動作や流れなどに適合した福祉機器や生活道具を本人と話し合って準備する。

5)住環境の改善

:住環境は、移乗・移動動作などの自立に影響するので、住宅へのアプローチや玄関、トイレ、浴室、洗面所などの住宅改造を行えば、できることが増える。
まとめ:高齢化や事故,病気が原因で、現在の医学では完治させることのできない人の退院後の生活を楽しいものにするため、自律(律)生活や生活行動支援の考え方を身に付けてほしい。そして、例え身体に障害があっても、退院後の生活は自立(律)できる可能性があることを多くの人に伝達し、実行しなければならない。そうすれば、高齢となっても身体に障害があっても、誇らしく自立(律)生活する人が増えると考えている。

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